NYT紙は、7月5日、社説記事で「DisneyのFox買収に対し、スムーズに司法省承認。トランプ大統領 の政治的影響力?」と報じている。
先週、司法省反トラスト局は、Disney社の21st Century Fox買収(713億ドル)買収に対し、地方の
スポーツ専門局22局の分離という1つの条件だけで、短時間でスムーズに承認を与えた。
2年間に及び厳しく審査し、最後は訴訟提起まで行ったAT&TのTime warner買収とは大きな違い。
DisneyとFoxの合併で、2018年の全米セットトップボックス収入の約半分を占め、有料TV加入者の
30%を占めるにも関わらず、司法省反トラスト局がこの水平統合案件に対し十分な審査を行ったのか、
トランプ大統領の政治的影響を受けたのではないかと懸念される。
AT&Tの買収事案では、トランプ氏が選挙期間中から何度も「米国のために良くない」「傘下のCNNは偽
ニュース」と繰り返し批判してきた。しかし、21世紀フォックスについては、所有者のマードック氏が
長年の友人であることもあり、褒めたたえるばかり。
今回の買収により、DisneyはFox News、Foxネットワークや放送局を手に入れることができなかった
ばかりか、マードック一家は、Disneyのトップの大株主になり、数十億ドル規模の資産を得た。
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NYT紙は、7月5日、「フェイスブックだけでなく、プラットフォーム企業のエコシステムにメス」と
報じている。
フェイスブックの8700万件に上る顧客データ漏えい、Cambridge Analytica社のトランプ大統領支援
のための政治利用が発覚した数週間後、フェイスブックは約200社に対するデータ提供を停止した。
しかし、先月には、60社に満たない端末製造業者に対し、顧客データを渡す提携契約が存在すること
が明らかになったほか、フェイスブックを支えるエコシステム(生態系)の中で、不透明なデータ取扱
業者(Acxiom、Experian、Oracleなど)とのパートナーシップも明らかとなり、そのデータ取扱業者を
通じ、NBAなどの広告主が顧客データを購入して、デジタル広告に活用していることが判明した。
これを受け、フェイスブックは最近、「Partner Categories」と呼ばれる、データ取扱業者が顧客
データを抜き取る機能を閉鎖した。
これはフェイスブックに限らず、グーグル、アップル等のインターネット巨大企業に共通する問題で、
今後、規制当局が全体像を明らかにした上で、将来的には規制対象とすべき問題だ。
インターネット企業は、これまで問題が発生すると、「自分達はプラットフォームの提供者で、何が
悪いか判断するべき立場になく、その判断を第三者機関に委ねるのが適切」との立場を貫いてきたが、
この第三者機関を通じて、顧客データが抜き取られるパートナーシップ契約が、顧客に何も知らせる
ことなく、不透明な形で続いてきた。
このデータ取扱業者や端末製造業者が外国企業の場合、国家安全保障に関わる問題にも発展する可能
性がある。最近、フェイスブックは中国企業Huaweiとの提携契約を切ったが、この種の懸念を明らかに
するため、新たな議会公聴会での証言を求める必要がある。
アップルは、昨年、中国にデータセンターを設立するため、中国人のデータを保有することを希望
する外国企業にも適用される中国の法律をクリアし、また、中国企業とのパートナーシップ契約を締結
し、さらに、中国政府当局の求めに応じ、顧客データへのアクセスを認めているが、これは企業の持つ
倫理規範に反しており、フェイスブックだけでなく、アップルも、そしてインターネット企業全体の
エコシステムにメスを入れる必要がある。
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