NYT紙は、6月8日、社説記事で「豪州連邦警察のメディア捜査、トランプ政権など世界的傾向」 と報じました。

 先週火曜日、豪州連邦警察はSunday Telegraph社の政治部編集者のAnnika Smethurt記者宅

(キャンベラ)を捜査。同記者は現行法では違法な、豪州市民に対する広範な監視活動を可能とす

る超極秘の提案が行われていることを、2018年4月、報道した。

 続く水曜日、豪州連邦警察は、「Afghan Files」(2017年、アフガニスタンで豪州の特殊部隊が

無防備な市民を殺害した事件)を報道した公共放送ABCの本部を捜査し、電子メール、メモ、記事

原稿を要求した。この事件では、元弁護士が機密情報漏洩を認め、既に逮捕されている。ABCの

David Anderson局長は、「国家安全保障や防衛を理由にした、報道の自由に対する脅威となる異常

事態」と声明を出した。

 さらに今週、ラジオ局の記者が豪州に亡命を求めるスリランカ難民の乗ったボート事件の報道を

行ったところ、同様の捜査を受けることになると警察から警告を受けた。

 5月18日再選を果たしたモリソン首相は、「これらの捜査は、政府とは独立に、警察が法の執行

のため実施したもの」とコメントしているが、豪州は、最近、国家安全保障法の拡大を着々と進め、

例えば、電気通信事業者には2年間、携帯電話の通話記録を残すなど、全てのメタデータの保存を

義務付け、この間、法執行機関は捜査令状なしに極秘に見ることできる。そのため、2015年以降、

報道記者は情報源と通信する際、携帯電話の使用を止めるよう、求められるようになっている。

 理由がどうであるにせよ、トランプ大統領のメディア批判に後押しされ、西側諸国ではメディア

への攻撃が拡大している。先月、米国ではWikiLeaksの創設者Julian Assange氏をスパイ法(1917

年)違反の容疑で逮捕したが、連邦憲法修正第1条に根幹に対する攻撃と見ることもできる。

 トランプ政権と同様、豪州政府も、意を決して、内部告発者を脅かして黙らせ、情報源の秘匿性

を守るというジャーナリズムの中核を蝕もうとしているようだ。このような一連の捜査は、記者や

情報源に対する危機となるばかりでなく、報道の自由が確保されない状況下でもがき苦しむことに

なる民主主義への大きな侮辱だ。

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