NYT紙は、5月21日付けで「フェイスブックからヘイトスピーチを排除。独の判断に世界が注目」と報じている。
5月25日のGDPR施行開始を受け、独はナチスドイツの悲しい歴史を持つなど、EUの中でも、ヘイトスピーチ、テロリスト宣伝、ナチの象徴的なシンボル、児童虐待などに関し、最も厳しい基準を持つため、5月25日から、どのようなコンテンツ規制や判断が行われるのか、世界の注目が集まっている。
フェイスブックは、第三者機関に委託し、24時間体制で「明らかに違法な(obviously illegal)コンテンツ」を自動的に削除している。これに違反すると最大5000万ユーロ(5900万ドル)の罰金が科される。
ユーザーから違法の可能性があるとフラッグが立てられた投稿記事につき、無視するか、削除するか、それとも独の法律に詳しいフェイスブックの法律専門家によるグローバルチームに「escalate」として上げるか、判断を迫られる。ホロコーストの否定、大量虐殺の呼びかけなどは明らかに削除できるが、判断の難しい投稿記事については、ダブリン、ロンドン、シリコンバレー、ハンブルグの法律専門家まで上がるが、削除までに時間を要すると、「Facebook Law」と呼ばれる今回の新法に激しい批判を受ける時がある。
そのため、フェイスブック等は、自己防衛意識から、過剰に投稿記事を削除する傾向にあり、現実には違法ではないが、民間会社による自己防衛的な検閲を奨励する形になっていると、左右両派から批判を浴びるに至っている。
例えば、インドではフェイスブックの子会社WhatsAppで偽ニュースが流れ、7人が撲殺されたり、ミャンマーではフェイスブック上の偽ニュースで少数民族ロヒンギャに対する暴力事件が多発し、米国では、議会がザッカーバーグCEOに対し、ユーザーのプライバシー保護をどこまでフェイスブックが図れているのか、証言を求めた。
世界がフェイスブックはじめプラットフォームをどう規律すべきか注目する中、欧州、特に独がデファクトな規制当局となり、ヘイトスピーチや厳しいプライバシー規則に対し、具体的にどのような判断を示すのか、5月25日を契機に、世界がどう変わっていくのか、注目を浴びている。
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