NYT紙は、5月21日付けで「米国、軍事戦略でサイバー犯罪に立ち向かう」と報じている。

 サイバー犯罪は、世界で最も急成長している今後儲かる分野で、昨年少なくとも4450億ドルが犯罪被害にあった旨の経済研究レポートが出たほか、米国財務省は「金融分野にとって最も大きな脅威の一つ」で、戦争のような意識で立ち向かうことが必要としている。

米国の金融セクターでは、かつて政府内でスパイ活動を行っていた者、軍人、対諜報活動家などが、金融機関の情報セキュリティーチームの幹部を数多く務めている。

 多くの金融機関では、サイバー犯罪担当部門の予算は青天井状態のほか、「fusion center」といった仮想訓練センターでサイバー攻撃に対する模擬実験が繰り返されている。

民間会社だけでなく、財務省も乗り出し、業界横断的な模擬実験も行われており、直近の昨年11月の模擬実験には、50の銀行から900名が参加し、規制当局、法執行機関もロールプレイに参加した。

 銀行相互間の協力関係もできつつあり、例えば、1つの銀行のネットワークがハッキングされ、データが破壊された場合、他の銀行が協力して、事前に共同で保存しておいたデータ記録を引出し、ユーザーの口座へのアクセスを1日、2日の内に回復させるような取組も行われ、既に米国の銀行の約70%が参加しているとのこと。

 大銀行では毎年、サイバー攻撃のシミュレーション対応実験を繰り返し実施しており、IBMは、その訓練用に情報セキュリティー対策ゲームソフトを作って、販売している。

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