NYT紙は、5月16日、「TV視聴率が低下する中、コマーシャル番組販売が困難に」と報じている。
TV広告収入は、Magna社によれば、2016年がピーク(430億ドル)で、昨年は▲2.2%、2022年まで毎年少なくとも▲2%の減少が見込まれている。
Huluなどのプラットフォームビジネスで幾らかカバーするとしても、従来型のTV広告の減少分を賄うには不十分であるとともに、最近、TV会社は、時間当たりの広告料値上げを行っているため、視聴率の低下傾向は、広告収入全体の減少傾向以上に深刻な問題。大手の広告主の中には、広告出稿を手控えるところも出ている。
視聴率が最も高い番組は、広告料が最も高いが、視聴者の高齢化も激しく、逆にミレニアルや10代の視聴者が見てくれない。今シーズンの視聴率トップ番組は、「Roseanne」のリバイバル番組だが、視聴者の平均年齢(メジアン)は52.9歳。最も平均年齢が低い番組でも、CWの「Riverdale」で37.2歳。
他方、グーグルのYouTubeなどは若者に人気が高く、人種差別的な動画など問題もあるが、広告主は、従来型TVの視聴率が低下傾向にある中、グーグル、フェイスブックなどの動画ストリーミングサービスに広告資金を投下する傾向が強まっている。
広告主は、自らの顧客データに基づき、ターゲット広告が可能なデジタル広告に対する選好度が高く、「初回の車購入者リスト」や「海外旅行の好きな人リスト」といったデータに基づくターゲット広告ができることを、従来型TVにも求めている。
これを受け、4つの放送ネットワーク(NBCUniversal、Turner、Viacom、Fox)は、それぞれが持つ顧客データ上の言語やデータセットを標準化する作業を進め、ネットワーク相互間で乗り入れ可能な広告出稿の共通プラットフォームを作ろうとしている。
また、放送会社側では、コマーシャルは広告収入源だが、視聴者が嫌がることもあり、1番組当たりのコマーシャル分数を減らす傾向にあり、ニールセンによれば、昨年は放送時間1時間当たり、平均13.6分となっているほか、NBCUniversal とFoxネットワークは、ともに、特定の放送番組についてコマーシャル番組の時間を縮小する計画で、分けてもFoxは2020年までにコマーシャル番組を2分まで短縮することを目標としている。
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