1月10日、NYT紙は「偽ニュースの研究報告。偽ニュースへのアクセスはあるものの、真実報道へのアクセスがより多く、偽ニュースが大統領選に影響を与えたかどうかは不明」と報じている。
この偽ニュースに関する研究報告は、3人の学者(Brendan Nyhan(ダートマス大)、Andrew Guess(プリンストン大)、Jason Reifler(Exeter大))が実施。、事前に了解を得た2525名の米国人を対象に、ウエブ上のトラフィックデータを分析。
この研究チームは、昨年、経済学者のHunt Allcott、Matthew Gentzkow両氏が発表した研究報告で定義付けられた、少なくとも2つの偽ニュースが投稿されたウエブサイトを偽ニュースサイトと位置付け。
289の偽ニュースサイトを明らかになり、その投稿記事の80%がトランプ支持。
党派別に分析を加えると、偽ニュースサイトの約65%が超保守的な人達が閲覧し、その割合は調査対象の10%を占めた。
トランプ支持派は、クリントン支持派に比べ、3倍、トランプ支持を表明する偽ニュースサイトを閲覧。
偽ニュースは、調査対象全員の閲覧実態からみると、ごく一部で、クリントン支持派の1%、トランプ支持派では6%が偽ニュースを閲覧していた。
保守的な党員でさえ、約5週間の中で平均5回、偽ニュースを閲覧したに過ぎない。従って、このデータ分析から、人々が偽ニュースを見て、どの程度信じたのかどうかを決定することはできない。
なお、60歳以上の米国人は、若者よりも偽ニュースサイトの閲覧傾向が高く、驚いたことに、左翼的な人ほど、クリントン支持の偽ニュースよりも、トランプ支持の偽ニュースを見ていた。
1つだけ結論づけることができるとすれば、それは、高齢で、学歴のない、2012年にオバマ大統領に投票し、今回の2016年はトランプ氏に投票をスイッチした人々が、際立って偽ニュースに敏感な反応を示したこと。
この研究報告で、偽ニュースが大統領選に影響を与えたのかどうか結論付けることはできないが、フェイスブックやグーグル等の巨大ソーシャルメディアは、ロシアの干渉やオンライン犯罪者からユーザーを守ると経営姿勢を転換しており、これらソーシャルメディアにとって、今回の研究報告は重要。
なお、フェイスブックは、昨年、偽ニュース流布で批判を受け、偽ニュースに対し、ファクトチェックを行う第三者機関の判断に従い、「議論があるニュース(disputed)」とのフラッグを立てる方針を明らかにしたが、昨年末の12月、フェイスブックはモニタリング方法を変更すると発表し、偽ニュースに対するユーザーからの投稿をもとに、ファクトチェック情報を公表すると方針を転換した。
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