NYT紙は、8月1日、「Tモバイルとスプリントの合併で、料金値下げか」と報じた。

 4月、Tモバイルとスプリントの合併が発表されたが、多くの関係者は、市場における競争を減退させ、 結果的にユーザーの支払うべき料金が高くなり、合併案は否決されるべきと考えた。  しかし、両社の合併は、AT&T、Verizonよりも早く5Gネットワークを整備することができ、そのため、 AT&T、Verizonの顧客を数百万規模で奪うことができると考えられている。  そのためには、料金を値下げする必要がある。6月末、議会で証言したTモバイル幹部のJohn Legere氏は、 料金政策について聞かれ、「新規顧客に魅力のある、料金値下げに向けた経済的にもビジネス的にも十分見通 しの立つインセンティブを用意することができる。また、より拡大し、コストのかからない周波数帯域を 満たすようなユーザーの利用方法を提案していく」と証言した。スプリント社CEOのMarcelo Claure氏は、 より積極論者で知られている。  AT&T、Verizonの大手2社がモバイル市場の3分の2のシェアを持ち、Tモバイルとスプリントを併せても、 両社の半分の規模で、モバイル市場は、富裕者と企業ユーザー向けのAT&T、Verizonと、より料金に敏感な 一般ユーザー向けのTモバイル、スプリントと、事実上、2つの別の市場があるような現状となっている。  特にTモバイルは、これまで市場で「異端児」的に料金値下げに取り組んできたため、合併で料金値上げ となることを心配する人もいるが、恐らくTモバイルの「異端児」的姿勢に変化はないものと考えられる。  しかし、Tモバイルの親会社は独テレコム、スプリントの親会社は日本のソフトバンク。また、ソフトバ ンクは中国のデバイス製造企業Huaweiとの関係も強く、議会からは、「国家安全保障」を理由に合併案に疑問 の声が上がっている。  トランプ大統領は、今回珍しく沈黙を守っているが、AT&TとTime Warnerの合併には声を大にして反対し たし、「国家安全保障」を理由とした政府介入は最近数多く見られ、また、メディアの見出しを取るような 発言がトランプ大統領は大好きで、突然飛び出す可能性は否定できない。  なお、司法省のMakan Delrahim反トラスト局長は、6月、「競争市場のため、電気通信事業者の数は幾つ ぐらいが適当か」と聞かれ、「予め幾つと決められるような不思議な数値があるとは思えない」と答えている。 トランプ大統領が不思議にも沈黙を守る中、政府筋の見解が最も正しい答えのようだ。

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