NYT紙は、6月14日、「司法省のAT&Tタイムワーナー買収阻止は失敗に終わる」と報じている。
火曜日、連邦裁ワシントン地区のRichard J. Loen判事は、AT&Tのタイムワーナー買収阻止の
提訴を行った司法省の判断に待ったをかけ、買収を承認した。
大統領選直前の2016年10月、トランプ大統領はこの買収案件に待ったをかけ、「私が政権を取れば、断固戦う。AT&TがTime Warner、CNNを手に入れれば、多大な権力の集中が少数者の手に落ちる」と語り、大統領当選後も、態度を変えなかった。
しかし、最近では、「買収案件に異を唱えたのは私の決定ではない。本件買収が認められることは危険と見たMakan Delrahim反トラスト局長の判断」、「個人的見解だが、本件買収は米国にとって良くない。しかし、自分は本件とは関わりも持たない」と一歩距離を取る発言を行っていた。
1年以上に亘り、AT&Tの買収案件阻止に向け動いた司法省の裏にはトランプ大統領がいたとの疑いは晴れない。
先月、新たにトランプ大統領の弁護団に加わったGiuliani氏がHuffPostに「大統領は、AT&Tの買収案件に否定的だ」と語った後、「私は大統領から本件について適切に聞いていないまま、語ってしまった。その後、大統領は私に直接、「本件には関与していない」と語った」と述べ、大統領からその後反撃を食らったことを明らかにした。
今後企業買収を検討する会社が、大統領が承認するか、阻止に回るかと考えること自体、大きな問題だ。トランプ大統領は、ディズニー社の21世紀フォックス買収の提案に対し、直ぐに歓迎発言を行ったが、この21世紀フォックスは大統領の友人Rupert Murdoch氏の所有。大統領の発言は政権内で規制当局に働きかける意図があるのではと勘繰らせるものだ。
大統領が余計な発言を行うことは、今回のAT&T買収案件でも見られるように、Delrahim局長など政権内の部下の信頼性を損ねる可能性もある。
今回、AT&T買収案件では司法省敗訴となり、トランプ大統領は負けず嫌いなので、大型買収に企業が前進する可能性が高く、また、規制当局は逆に、本当は買収を阻止しないといけない案件にも目を瞑ってしまうリスクも生んでしまう。
また、今回のAT&T買収案件では、本来、企業買収に否定的な民主党が支持に回り、逆に企業買収に賛成派の多い共和党が反対に回るという珍現象を起こしてしまったが、その原因も、度重なるトランプ大統領の発言に負うところが大きい。
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