NYT紙は、8月17日、社説記事で、Boston Globe紙の呼びかけに応じ、「「報道の自由」は、国民の参加が 不可欠」と報じている。
1787年の米国連邦憲法採択時、トーマス・ジェファーソンは友人に、「新聞のない政府と政府のない新聞の
どちらかを選択しろと聞かれれば、自分は躊躇することなく、政府のない新聞を選ぶ」と有名な書簡を送った。
ジェファーソン当人でさえ、20年後に大統領となった時、ホワイトハウス内で新聞記者の監視を受け、
「新聞報道では、真実と信じられるものはない」「汚染された新聞報道で、真実そのものが疑わしいものに
変質してしまう」と感じていた。
ジェファーソンのメディアに対する不快感は、今日も変わらず、メディアとしても理解できる。
しかし、メディア報道で十分な情報を得た国民こそが、腐敗を正し、自由や民主主義をより一層進展させ
られる。1964年、連邦最高裁は、「国民的議論が政治的義務だ」「国民的議論は抑圧されず、強く、幅ひろく
オープンな議論でなければならず、時折、政府や政府職員を厳しく糾弾することもある」と述べている。
2018年、最も強烈なメディア攻撃は、政府職員の側から起こっている。
記者も編集者も人間であり、ミスも犯す。そのミスを正すことは、メディアの役割の中心だ。自分が好ま
ない真実を「Fake News」と呼ぶことは、民主主義の生命線に対する脅威であり、ジャーナリストを「国民の
敵」と呼ぶことも危険だ。
特に、法の支配の手薄な国のジャーナリストや、米国内でも購読数の少ない地域の新聞社とっては脅威だ。
他では聞けない情報を伝え、そのために取材を「行うのは、益々難しい仕事になってきている。
Boston Globe紙の先週の呼びかけにNYT紙も応じ、数百の大、中、小に亘るメディアが、米国の基本的な
価値観の1つ「報道の自由」の持つ意味を再確認する取組に参加した。以下は、各紙からの抜粋だ。
もし新聞を購読していないなら、地元に加入購読してほしい。地元紙が良い仕事をしていたら褒め、もっ
と良い仕事ができるのにと感じたら、容赦なく批判してほしい。
【The Idyllwild Town Crier(カリフォルニア)】
「信頼できる報道機関を「Fake News」と攻撃する人は、問題となっている事実が嘘と証明された時、自ら
の主張が自己矛盾を来している時、無視を決め込む時、或いは、単純に報道されている事実を好まない時、
いつも真実を否定しているものだ」
【Sun Sentinel(フロリダ)】
「米国のリーダーは、報道の自由が未だ夢と化している国々の独裁者がジャーナリストを苦しめ、沈黙さ
せようとすることに手を貸すべきではない」
【The Chicago Sun-Times(イリノイ)】
「シカゴは今日、良い街だが、数十年後まで現在のような2つのクオリティー紙の競争が続くと、国民に
とって良からぬことが起こるのは必至だ」
【The Topeka Capital-Journal(カンザス)】
「我々メディアは国民と離れた存在ではない。我々も米国市民だ。我々も、Topekaやその周辺で生活し、
仕事をし、娯楽を楽しむ。レストランにも行けば、子供を学校に送り届ける。同じ道路を走り、同じ医者に
診てもらう。我々メディアは、国民の敵ではなく、市民そのものだ」
【The Chronicle-Express(ニューヨーク)】
「我々メディアの仕事は、愛情の成果。なぜなら、我々は米国を愛し、民主主義の発展に不可欠の役割を
果たしていると確信しているからだ」
【The Hazen Star(ノース・コタ)】
「難しい質問を投げかける取材は、「Fake News」ではない。左寄りや右寄りといった政治的な立場に立っ
た基本的な推論は、「Fake News」ではない。今日の政治的舞台で繰り広げられる論争の底部にある、より
広い真の問題を見つけることは、「Fake News」でも何でもない」
【The Chagrin Valley Times(オハイオ)】
「街の新しいビジネス、自動車事故、選挙結果、高校スポーツなど、全てがリアルなニュースだ。単純に
報道されていることを好まないとの理由で「Fake News」と誰かが呼ぶときは、連邦憲法修正第一条で保障
される基本的人権(表現の自由)を踏みにじる(trample)行為だ」
【The Daily Item(ペンシルバニア)】
「先日もこの街であったように、クレーンが倒れ、道を塞いだとき、我々メディアは現地に行き、何が
起こったか報道するだけでなく、なぜ起こったのか、修復するのにいつまで掛かるのかも併せて報道する
ものだ」
【The Mountrail County Promoter(ノース・コタ)】
「ノース・ダコタ州の新聞はどれも「Fake News」ではない。我が街の出来事や歴史を日々報道している」
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