NYT紙は、10月17日、社説記事で「将来、インターネットは分裂」と報じた。
今年9月、元グーグルCEOのEric Schmidt氏は、ある秘密会合で「今後10年から15年のうちに、インターネット
は中国主導と米国主導の2つに分裂する可能性がある」と述べた。
EUを除外する間違いはあるが、Schmidt氏の考えは、概ね、正しい。
かつて、統合し、国境のないウエブ情報の自由な流通が民主主義の促進に役立つものと考えられてきたが、現実は、
それほど単純ではない。
中国は巧妙にデジタル監視システムを取り込み、ウイグル人の迫害など、人権侵害に活用しているし、SNS上の偽情報
は、ミャンマーのような国で暴力事件を引き起こしている。
EUのGDPRと中国の検閲システム「Great Firewall」を比べると、世界には大きな違いが存在する。EU、米国、中国
でそれぞれ異なるルール、規則、規範を作っているだけでなく、実際のデータの所在地を見ると、特にデータ現地化
法(data localization laws)を持つ国ではデータセンターの国内設置が義務付けられるなど、地域ごとのデータの
分散傾向が見られる。
2010年、グーグルは、Gmailの異端者アカウントを中国政府がハッキングし、検索エンジンを通じて監視している
ことが発覚した後、中国でのオペレーションを中止した。
それから8年立ち、グーグルは「Dragonfly」と呼ぶ検索サービスを開始する予定で、現在、中国政府の審査中だが、
これは中国の厳しい検閲要求に応じることを意味する。
グーグルは否定するが、内部資料によると、「検索エンジンに監視機能を組み込み、ユーザーがログインすると、検索
履歴が追跡され、グーグルの匿名のパートナー、それは恐らく中国政府だろうが、データアクセスが可能となり」、
「グーグルの検索サービスのトップBen Gomes氏は、「米中関係の不安定化で、中国政府がゴーサインを出すか予測
不可能だが、6~9か月以内にオペレーションを開始したい」と内々述べている」とのこと。
インターネットの検閲・監視は、かつては中国、エジプト、イランのような抑圧的な政府に見られる特徴だったが、
今や広がりを見せ、反民主主義国家の専売特許ではなくなりつつある。
各国政府がインターネットの分裂の方向に向かっている中、米国企業は対応措置として取るべきものはほとんどなく、
オペレーションの拡大に向け、必要なことは何でもやる姿勢だ。
インターネットの将来がEU、米国、中国の3極冷戦構造となるなら、シリコンバレー企業は、それぞれ、その3極で、
金儲けを企んでいるだけだ。
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