NYT紙は、10月29日、「Apple Newsにおける人的関与、ニュース・アプリ事業隆盛のカギかも」と報じている。

設立後3年を迎えた「Apple News」は、米国、英国、豪州の全てのiPhoneに組み込まれたニュース・アプリだが、

現在、約9000万人の月間ユーザーから読まれている。

 そのLauren Kern編集長は、元New York Magazine誌の編集者で、シドニー、ロンドン、NY、シリコンバレーの

4都市で約30名の記者を抱え、日々、世界の各メディアからニュース情報を集め、トップ5の主要ニュースに何を

掲載すべきか、編集室で議論を重ね、精査する作業を繰り返している。

 グーグル、フェイスブック、ツイッターが偽ニュースの流布など、掲載するニュース情報に遍在性があり、厳しい

批判を浴びているのに対し、アップルはこれまで、その対象外となってきた。

 その理由は、グーグル、フェイスブック、ツイッターがテクノロジー企業としてアルゴリズムや機械技術に過度に

依存する傾向を持つのに対し、アップルはKern編集長のように人的関与を重視してきたため。

 アップルCEOのCook氏やKern編集長は、「アルゴリズムと言っても、リベラルか保守かレッテルを貼るのは人間で、

アルゴリズムのコードを決める人間のバイアスにどうしても影響を受けてしまう」「人間の持つバイアスを回避する

最も有効な手段は、現時点では、人的関与だ」「既存メディアのような感度を持って人的関与を行うことが、テクノ

ロジー企業内でニュース・アプリを共存させていく秘訣」「民主主義が機能するには、国民への情報提供が重要であ

り、そのためには自由なジャーナリズムが今後とも生き続けていくことが大事で、アップルはその責任の一端を

担っていく」「アップルは、スピードより正確性を重視」「アップルは、政治的に議論のある問題については、

両サイドの意見を掲載する」「伝統的にメディアは左翼的傾向が強かったが、現代の読者は、左翼的と同様に、右翼

的なニュース報道も読みたがる傾向を持つ」などと語っている。

 フェイスブックも2014年、ウエブサイト上の「見たい話題(trending topics)」につき、編集者を雇い出したが、

2016年、その編集者がフェイスブック内にリベラル寄りの偏見があると内部告発した3か月後、編集者を解雇し、

元のアルゴリズム偏重主義に戻ってしまっている。

 実際、Apple Newsのトラフィックは急成長を遂げており、時には、フェイスブックのトラフィックを上回る。

 例えば、New York Magazine誌のApple News上のトラフィックは、昨年12月から現在までの間に2倍増え、New

York Magazine誌のウエブサイトへのアクセスの約12%を占めるまでとなっているのに対し、フェイスブックは、

この間、同ウエブサイトに対するアクセス数が約3分の1に減少し、アクセス全体の8%を占めている。他方、

グーグルは少しアクセス数を伸ばし、サイトへのアクセス数の約半分を占める。

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