NYT紙は、10月31日、「暴力的なスピーチの拡大を招いたSNS、その撲滅を目指すも有効策なし」と報じている。
先週土曜日のユダヤ教会での銃撃事件(ピッツバーグ)以来、インスタグラム上の反ユダヤ主義的ヘイトスピ
ーチを調査したところ、「Jews」という言葉が入った投稿記事が何と1万1696件も出てきた。
過去10年、SNSはネットワークを広げ、世界各地に人々の会話を送り届けるポジティブ効果を果たしたが、SNS
のネガティブ効果、すなわち、ヘイトスピーチなど今までは見向きもされなかった情報が、SNSによって読者を得、
極端な意見を持つ人々を大胆にさせ、偽情報やヘイトスピーチなどを流布させることに、SNSは無力な対応しか
できてない。
これは米国だけでなく、ブラジルの大統領選、ミャンマー軍事政権によるロヒンギャへの脅威を煽る情報提供、
インドの子供誘拐に関する偽情報など、世界各地で発生している。
フェイスブックは今年、ヘイトスピーチの38%に内部的なシステム検討を行った末、フラッグ立てを行った。
同システムでは、ポルノ情報に96%、テロ情報に99.5%にフラッグ立てをしたと言う。
YouTubeは、今年4月から6月までの間に、そのガイドラインに違反する可能性のある動画が1千万件に及び、
そのうち百万件弱がルール違反として削除されたという。
MITの研究者によると、「ツイッター上で、嘘の投稿記事の方が、正しい記事より70%も多くリツイートされや
すい」との報告がある。
フェイスブック、ツイッター、YouTubeは、ルール違反の投稿記事を見つけ、削除するため、AIその他の技術
開発に多額の投資を行うことを公表し、フェイスブックは安全・セキュリティ問題対応に新たに1万人雇用する
旨発表、YouTubeも同様に動画チェックに1万人雇用を公表している。
また、ツイッターCEOのJack Dorsey氏は、最近「ツイッターの長年の原理原則は「表現の自由」だが、現在、
「安全」を一番の原則とすべきか議論しているところ」と語っている。
しかし、実際、ツイッターの社員から漏れてくる言葉は、SNSのポジティブ効果に疑問を抱き、ヘイトスピーチ
など社会に害毒を流す情報にどう対処してよいか、ツイッターがもがき苦しんでいることに大きな懸念を持ってい
ることを表している。
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