NYT紙は、12月6日、Thomas Friedman氏の「「次のアメリカ」に向けて」と題する意見投稿記事を掲載している。
2020年はトランプ大統領が再選に挑戦するかもしれないが、2018年の今から、2020年の「次のアメリカ」に向け
て様々な取り組みが必要だ。未来は、今から始まっている。
5Gが丁度、始まる。Verizon、AT&Tの2大テレコム企業が5Gネットワーク建設に取り掛かりだした。2020年頃
から始まる「次のアメリカ」では、5Gでビジネス、エンターテインメント、教育、医療等の分野で大きな変革が
加速化しそうだ。
AI、機械学習などの活用のためには、自動運転分野でも必要なように、大量のデータを低遅延で伝送する必要が
ある。「次のアメリカ」では、通信インフラがそのキャパシティを持つ。現在、映画はiPadへのダウンロードに6、
7分かかっているが、「次のアメリカ」では6、7秒。シャツに埋め込まれたマイクロセンサーが人体情報を収集し、
それを医者に伝送する。インターネットと同様、5Gは革命的だ。
しかし、自動運転からドローン配達システム、ロボットなどに至る新たなアプリケーションを管理統治するには、
新たな規律が必要だ。AP通信は月曜日、「現在、米国ではドローンが11万台飛んでいるが、飛躍的に増加し、
2022年には45万台」と予測する記事を書いた。
新しい技術は、教育から就業に至るプロセスにも大きな影響を与える。この分野の専門家McGowan氏は、
「従来のモデルでは、教育を受け、その教育を生かして40年就業したが、これからの新技術の進展スピードを考え
ると、教育を受け、20年間就業した後、再訓練を受け、次の20年就業するモデルへの転換が必要」と述べている。
このモデル転換は、社会保障や医療保険など、伝統的なセーフティーネットの転換も意味する。就職後の教育シス
テムでも、一定レベルの基準や定数を決めて、教育アクセスの無料化を実現することや、幾つになってもコミュニ
ティカレッジで学べるようにすることも必要になる。テネシー州では既に実施している。
反トラスト政策の転換も必要だ。1980年代以来、反トラスト問題の判事は、「企業の巨大化が、料金の高騰や
サービス選択の減少を呼び、競争の低下により、消費者の利益を害しないか」という基準で判断してきたが、「巨大
で力のある世界的企業が個人データを無償で得る代わりに、「無料」で製品やサービスを提供する時代となり、過去
の判断基準は機能しなくなっている」「このことは、シャーマン反トラスト法(1890年)で定義された「独占」へ
回帰し、巨大企業の経済力で、政治プロセスの腐敗がもたらされないよう確保する必要があることを意味する」旨、
Financial Times紙の技術コラムニストRana Foroohar女史は6月24日、エッセイを寄せている。
このことは、我々自身が消費者である以上に「市民」であり、消費者への料金高騰以上に、市民として我々が持つ
自由に関心を持つ必要があり、また、政府はそれを守る責任がある。これは連邦憲法の正しい理解であり、我々は、
これまで忘れていたのだ。
例えば、フェイスブックのザッカーバーグCEO。彼は、フェイスブック、 WhatsApp、Instagramをコントロール
し、プラットフォーム上の人権侵害撲滅より、プラットフォーム規模拡大のために政治的、経済的利益を得ることに
熱心だ。こんなフェイスブックは、分割すべきか、規制を加えるべきか、2020年の段階で中心的な政策課題となる。
フェイスブックにとどまらず、Amazon、Google、Microsoft、Appleも政治的舞台で、注視が必要だ。
「次のアメリカ」は、技術依存のレベルが高まる。米国統計局(United States Census )は、「2020年までに、
初めて、少数民族の子供たちが過半数を超える」「2044年までには、1つの人種グループが数の上で過半数を握る
ことは無くなる」と予測している。
そして「次のアメリカ」では、2018年のトランプ政権の大幅減税があったものの、丁度、ベビーブーマーが退職す
る時期にも当たり、逆に増税か、軍事費、社会保障費、医療保険などの削減といったことが必要になってくる。
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